第8回総会記念講演:ミャンマー・ガスパイプライン建設で何が起きていたか
ミャンマー・ガスパイプライン建設で何が起きていたか
【講演者】
木口由香さん (メコン・ウォッチ理事/事務局長)――東北タイのダムの反対運動に関心を持ったことがきっかけで、メコン・ウォッチに参加。メコン河流域での人々の自然資源利用や開発の影響についての調査・映像制作、日本の援助政策に関する政策提言等に従事している。
【講演要旨】
2021年2月1日にミャンマーで国軍によるクーデターが発生してから、民主化を求める市民に対する弾圧が続いています。また、少数民族居住地域への攻撃も激しさを増し、国内避難民は44万人になったと報告されています。国軍は独自の収入源を持ち、軍事力で国を支配しようとしていますが、過去、その国軍に大きな収入をもたらしてきたもののひとつが海上のガス田だと言われています。
ミャンマーのガスは、主にタイに輸出されています。筆頭事業であるヤダナ・ガス田のパイプライン建設の際には、国軍が甚大な人権侵害を少数民族居住地域で引き起こしています。日本は、その同じ経路を使うイェタグン・ガス田に関わってきました。
クーデター以降、このままイェタグンの生産を継続すれば国軍に莫大な収入をもたらす、という市民グループの訴えに対し、日本政府は沈黙を続けてきました。一方、海外の大手企業は長年にわたる市民の働きかけに押され、人権問題を理由にヤダナ・ガス田事業から撤退を発表しました。更に、日本勢が共同で事業を行うミャンマー石油ガス公社(MOGE)が、ヨーロッパ連合(EU)の制裁対象となっています。
このような状況に押されて、3月末、三菱商事は撤退を表明、イェタグンに当初から関わる日本政府とENEOS(JX石油開発)も、撤退を検討していると報道されています。しかし、この3者が単に事業から撤退するだけでは、国軍に収入が渡ってしまう恐れがあります。
ミャンマーのガス開発が抱えていた人権問題と、イェタグン・ガス田と日本の私たちの関わり、事業から「責任ある撤退」をするための課題についてお話しいただきます。
【記念講演日時】
5月29日(日) 15時~17時
【場所】
会場参加 または Zoom参加
会場:貸会議室「内海」1F教室(本館 東京学院ビル)
千代田区神田三崎町3-6-15 東京学院ビル1F https://www.kaigishitsu.co.jp/access/
【参加について】
参加費無料
会員以外の方は、http://aeeri.
Zoom参加の方には、